人生における節目(引越し編)

半年間御世話になった上環(香港島)の



今日、香港で半年間住み慣れたサービス・アパートメント(日本でいう家具付きウィー
リー・マンションならぬマンスリー・マンション)を移る為、契約・鍵の引渡し・荷物の
搬入等、新たなスタートを切るべくその第一歩を踏み出した。


人生における節目として「就職」・「結婚」・「出産」に異論を唱える人は少ないと思うが、僕は自分の人生において
「引越」を自分の重要なターニングポイントとして捉えている。


実家に生まれ育ち、一つの地に住み慣れた人も世の中には多くいるかも知れない。そんな友人の「俺の地元でさあ、」
という言葉は、僕をとてもノスタルジックな気分にさせてくれる。


何故なら、その理由は単純。僕には長く住み続けた「地元」と呼べる場所がないからだ。


今回の引越しは、シカゴで生まれて以来、3ヶ国8都市を跨いで17回目を数える。(単純平均すると1年10ヶ月/回
の割合。我ながら驚き。)


今までの引越しと大きく意味合いが異なるのは、今回の引越しでは住み慣れた街に後ろ髪を惹かれる思い以上に
強い気持ちが働いたからだと思う。


人生の教訓とも言える3つの事を今日一日で学んだ。


〜教訓〜

  1. 自己責任の重さ
  2. 人情網の奥深さ
  3. 情熱の尊さ


1.業務上の理由である香港生活ではあっても、「契約は本人の責任において行われ
るもの。契約内容の一切の交渉も含めて個人で行われるべき」というスタンス。
是非を議論する以前に「自立した個人」を香港という国も、身を置く会社も求め
  ているという事を実感。
 「郷に入っては郷に従え」に習い、ベストな条件を引き出し、リスクを最小限に
  抑える為の契約内容の交渉を会社と不動産双方に対して行った。法学部で国際・
  比較法を仮に真剣に学生時代学んでいたら、ここでカッコ良いところを見せら
  れたのだろうが、法学部卒という肩書きだけでは屁の突っ張りにもならない。
  これも自己責任である。会社の名義で契約をしていたら、契約書に目を通す事
  などしなかったかも知れない。幸も不幸も全ては自分に振りかかる。正に自己
  責任である。人間は多かれ少なかれ「観念」に縛られて生きている動物かも知
  れない。僕はその「観念」とやらを「得体の知れないもの」と除外するのでは
  なく、前向きに向き合って共存し、プラスを生み出したいと思っている。今回
  のその結果として、最高の条件を引き出せた事を付け加えておきたいと思う。


2.僕は多分に人との出会いに恵まれている人間であるとつくづく感じる時がある。
  今日は正にその瞬間を実感した日である。その出会いとは、今回不動産の仲介役
  を担ってくれたエージェントのCoCoさんであり、オーナーのSmith夫妻である。
  貸し手(売り手)と借り手(買い手)が相互にメリットを見出せる事が不動産
  賃貸(売買)の前提条件となるが本来、この両者の関係は相反するものである。
  エージェントと呼ばれる不動産業者はこの相反する2者と繋ぐglue(接着剤)の
  役割を担ってくれる存在だ。Cocoさんは見事に僕の我侭を聞き入れ、経験と知恵
  の限りを尽くしてオーナーと折衝して下さり、契約締結に関する事から香港生活
  全般において様々な事について手解きを頂いた。Smithさんもまた、十分過ぎる
  程の誠意を持って我々に接してくれた。この3人の方との素晴らしい出会いが
  なければ今日のこの清々しい気持ちを感じる事はできなかったと思う。それは、
  Smith夫妻、CoCoさんに取っても同じ気持ちを感じてくださっているという
  Win-Win-Winの関係を感じれたからに他ならない。


3.後日談として、契約締結後にエージェントであるCoCoさんより教えてもらった事
  がある。それは、今回の物件をSmith夫妻が賃貸する事を公にして以来、今日に
  至るまでとにかく様々な人が色々なエージェントを通して、コンタクトが絶え
  なかったという事実である。そんな中、我々を「借り手」として最初から最後
  まで最優先に見てくれていたのは、我々(妻と私)に対するの「第一印象」で
  あったと。「この人達であれば自分達の思い入れが詰まった住まいを大切に
  使ってくれる」という「第一印象」。この物件を目にした時、妻も僕も心の中
  で子供のように飛び上がってはしゃいだ。「これこそ我々が求めていた所だ」
  と。Smith夫妻と初対面であったこの時は、このはやる気持ちを抑えつつ、言葉
  は控えめながらも目でその興味の深さを訴えていた。Smith夫妻が我々とだけ
  交渉をして下さっていたとはその時点では露知らずも、我々も自分達の気持ちを
  裏切る事無く、「ここに住みたい」という事だけを考え、一切の迷いも偽りも無
  く接してきた。この気持ちがSmith夫妻の温かい心に触れたのだと信じている。


Smithさんとの出会いもCoCoさんとの出会いが無ければ実現しなかった事であり、CoCoさんとの出会いも妻の友人の
紹介があっての事だ。


一人の人間として、また、一家の主として、愛する妻と自分自身の幸せを常に願っているが、その幸せの中には大勢
の人のいっぱいの気持ちが詰まっているのだという事を自身の人生の節目と掲げる今日のこの日に感じる事が
できて本当に幸せ者である。


この場を借りて、CoCoさんとSmith夫妻に心より感謝の気持ちでいっぱいである。Thank you so much !!